ナニワ金融道のようなタイトルですが、
賃貸の現場では、言い方こそ違うものの、
保証人に対する請求は実行されています。
賃貸物件を借りる場合、
多くのケースで「保証人(または連帯保証人)」を
設定してもらいます。
賃借人は、契約時に保証人を準備する必要があり、
そのうえで賃貸借契約を締結します。
保証人を設定する理由は、
賃借人が賃料滞納した場合などに
代わりに弁済してもらうためです。
※実際の現場では、保証人の代わり
(もしくは保証人と合わせて)に、
保証会社による保証というものがありますが、
今回はあくまで個人にまつわる改正なので、
割愛します。
これまでの賃貸現場では、
賃借人の賃料滞納を長期間放置しておいて、
いきなり保証人に全額請求するといった
お話でトラブルになるケースも珍しく
ありませんでした。
賃貸現場における保証人は、
賃借人を【根保証】している立場にあります。
賃借人の債務不履行を根保証するので、
滞納があれば賃借人と同じように請求される
立場にありました。
改正民法では、
このような条文になります。
(個人根保証契約の保証人の責任等)
第四百六十五条の二
一定の範囲に属する不特定の債務を主たる 債務とする保証契約(以下「根保証契約」という。)であって 保証人が法人でないもの(以下「個人根保証契約 」という。)の保証人は、主たる債務の元本、主たる債務に関する利息、違 約金、損害賠償その他その債務に従たる 全て のもの及びその保 証債務について約定された違約金又 は損害賠償の額について、 その全部に係る極度額を限度として、その履行をする責任を負 う。
2 個人根保証契約 は、前項に規定する極度額を定めなければ、 その効力を生じない。
3 第四百四十六条第二項及び第三項の規定は、 個人根保証契約 における第一項に規定する極度額の定めについて準用する。
ポイントは、
■個人の根保証についての話です
■極度額を定めなければ効力を生じません
■保証契約は書面でしなければ効力を生じません(現行民法に同じ)
です。
今までの賃貸現場では、
保証人の保証範囲として極度額は設定されていません
でした。
民法改正後は、
【保証人による保証極度額:〇〇〇〇円】
といった表記がされることになります。
保証人の思いもよらぬ
債務発生を防ぐ目的ですね。
最初に極度額が設定されていれば、
保証人になる際に
「最悪、〇〇〇〇円の支払いを覚悟しておけばいいか」
と検討できますし、
貸主や管理会社も
「〇〇〇〇円以上は保証がない。放置できないな。」
と判断し、怠慢な放置もできなくなります。
そして、タイトルのような内容の
請求は出来なくなります。
双方にとって良い改正だと思います。
以上、
個人根保証の責任範囲のお話でした。