先日の話。
夜10時頃、
最寄り駅から家までの道中、
ある家の前に消防車とパトカーが
停車し、野次馬ができていました。
「どうしたのかな」と観察していると、
どうやら一軒家の屋根から瓦や外壁が
崩落し、通行人に危なく当たるところ
だったそうです。
前々から、崩落のおそれがありそうなお家でしたが、
それが実際に生じてしまったようです。
外壁の材質などにもよりますが、
一般的には10年程度を目途に外壁のメンテナンス
工事を行うことが必要です。
目視レベルですが、今回のお家はかなり築年数も古く、
メンテナンスをしているようには到底見えませんでした。
それが、このような事態を招いてしまう結果となりました。
通行人に当たらなかったのが、不幸中の幸いです。
しかし、もし通行人に当たってケガをさせてしまった場合、
誰が責任をとるのでしょうか?
民法717条には下記内容の【工作物責任】が定められています。
土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。
これは簡単に今回の件について当てはめると、
家の外壁が崩落して人にケガをさせてしまったときは、
もしその家に賃借人などの「占有者」がいる場合には、
その人が責任を負うことになる。
しかし、その賃借人が損害発生防止のために行動したと
認められるときには、所有者が責任を負う。
という事になります。
この場合の所有者の責任は、「無過失責任」といわれ、
「過失(=うっかり)」が無く、十分注意していたと
しても、責任を負わなければならないとされています。
ケガをじた本人を守ってあげようという立法趣旨ですね。
つまり、建物が原因で人にケガをさせてしまったら、
所有者は逃げることが出来ない
ということです。
建物には耐用年数があり、メンテナンスをしっかりしないと
老朽化だけではなく、第三者にも迷惑をかけてしまう場合が
あります。
空家問題が進む中で、このような事例は今後多発する
と思われます。
相続等で老朽化した不動産を所有するに至った場合には、
建物のメンテナンスや今後の動き方(保有・賃貸・売却など)
をしっかりご検討ください。