前回の記事の追加内容です。
宅建業者が売主で一般消費者が買主の場合、
宅建業法という法律で
手付金について下記内容の制限がかかります。
① どんな特約をしても「解約手付」となる
前回の記事で、
手付の性格には種類がある旨記載しました。
そして、
特約を定めれば、解約手付のみでなく各種類の手付として
取り扱うことが出来ます。
しかし、宅建業者が売主の時には、
消費者保護の観点から手付は【解約手付とみなされます】。
どんな特約をしてもです。
これは宅建業法第39条第2項に
宅地建物取引業者が、みずから売主となる宅地又は建物の売買契約の締結に際して手附を受領したときは、その手附がいかなる性質のものであつても、当事者の一方が契約の履行に着手するまでは、買主はその手附を放棄して、当該宅地建物取引業者はその倍額を償還して、契約の解除をすることができる。
と定められていることに由来します。
これは宅建業者でも理解していない方も
多い内容ですが、
一般消費者売主の場合には、「手付解除期限」というものが
定められることがあります。
「●年●月●日までなら手付解除できるけど、
この期日過ぎたら手付解除できないよ」
というものです。
しかし、
宅建業者売主の場合には、「手付解除期限」はありません。
理由は、
上記の条文があるからです。
すなわち、
一般消費者である買主が手付解除する場合には、
売主業者が履行に着手していなければよく、
手付解除期限なるもので買主を拘束できないからです。
② 売買価格の20%を超える額の手付は受領出来ない
業者売主の場合には、
20%超(20%ちょうどは含まない)の手付は
受領出来ないことになっています。
これは、
あまりにも高額な手付を受領してしまうと、
一般消費者である買主が手付解除出来にくくなり、
買主を拘束してしまうからです。
③ 保全措置を講じなければならない
宅建業者売主の場合、
手付金等(中間金等含む)を受領する場合には、
もし物件の引き渡しが出来なくなった場合などに
備えて、保全措置を講じなければなりません。
しかし、以下の場合には例外的に保全措置を
しなくても良いことになっています。
・買主名義の所有権移転登記・保存登記がされたとき
・手付金額が少額のとき
(イ)未完成物件/売買価格の5%以下かつ1000万円以下
(ロ)完成物件/売買価格の10%以下かつ1000万円以下
このように、
宅建業者が売主で一般消費者が買主の場合には、
通常の場合とは異なる規制がかかります。
もしこれら内容にご興味がある方は、
ぜひとも宅地建物取引士試験を受験してみてください。