一般的には
皆さんが賃貸住宅に住む場合、大家さんとの間で賃貸借契約を締結します。
毎月決まった賃料を大家さんに支払い、暮らすわけです。
しかし、大家さんと特殊な間柄にある場合、
「賃料いらないよ。」
と言われることもあります。
※例えば親子関係など。
このように、無料で物を借りることを法律上
「使用貸借」といいます。
無料なので良い
と思うかもしれませんが、
法律上、使用貸借には賃貸借と異なる部分が
あります。
まず、賃貸借と違い使用貸借では、目的物の
保存保管に必要な通常費は借主が捻出
しなければいけません。
大家さんを頼れないのです。
次に、使用貸借は第三者に対する
対抗力がありません。
「自分はここに住んでいるんだ!」
と強く主張できないのです。
また、賃貸借で家に住んでいる場合、
相続の対象になりますが、使用貸借は
相続されません。
父が借主として賃貸物件を契約しており、
一緒に住んでいる場合、賃貸借ならあなたが
相続すればそのまま住めますが、使用貸借だと
出ていかなければいけません。
そして、使用貸借には借地借家法の適用が
ありません。
このように、特殊な間柄で無料で借りている
場合は、無料ならではの弱い部分があります。
不動産取引の中でもたまに遭遇するお話です。
皆さんも無料で借りている場合はお気をつけ下さい。
よくご質問頂く内容です。
皆さんが家を購入する場合、
多くの方が住宅ローンを利用します。
銀行からお金を払って購入するわけです。
そして購入時、その不動産には銀行を
抵当権者とする「抵当権」という担保権が
設定されます。
これは、「もし毎月の銀行への返済を
しなかった場合、その不動産を売却して
換金します。」
というもので、不動産を担保として
差し出している内容のものです。
毎月銀行へ滞りなく返済していれば
問題ないですが、滞ると、
銀行(抵当権=債権者)はその不動産を
競売にかけ、換金します。
さて、一般の人が売りに出している不動産の
多くには、先に述べた抵当権が設定されています。
この抵当権、皆さんが購入する時には
ついたままなのでしょうか?
多くの不動産取引の場合、
契約書約款に
「抵当権等は消して引き渡す」
旨の条文が盛り込まれています。
ですので通常の不動産購入をされる
場合には、気にされなくて大丈夫です。
もし、
引き渡しを受ける時に抵当権が
設定されたままだとどうなるでしょうか。
これは、前所有者を債務者とする抵当権が
ついたまま購入したことになり、前所有者が
ローンを滞ったら、競売で家を取り上げられる
ことになります。
※回避法もありますが、お金がかかります。
ですので、イレギュラーな取引にて不動産購入を
検討されているのであれば、担保権などしっかり
確認してください。
思わぬ損害を被ることになります。
※少し固いお話です。
これは「てきじょ」と読みます。
今はもうありませんが、元々民法で規定されていた法制度です。
簡単に説明します。
皆さんが家を買いました。
しかし、その家には、元所有者が銀行に
住宅ローンを借りた時の抵当権がついて
いました。
このままでは、元所有者が住宅ローンの
支払いをしなくなった場合、「競売」
という方法で家が取り上げられてしまいます。
そこで昔は、この「滌除」という方法で
抵当権を消してもらっていました。
滌除とは、抵当権のついた不動産を
買い受けた者(皆さん)が、
抵当権者(銀行)に対して
「●●円払うから、抵当権を消してください」
と言える制度でした。
しかし、この法制度、悪用する輩が後を絶ちませんでした。
不動産を持っている人に対して、
格安で自分に売らせ、抵当権者に
滌除を要求するといった方法です。
抵当権者からすると、滌除を認めない
場合は増加競売をし、買手がつかなければ
自分で落札しなければいけないという
リスクがありましたので、泣く泣く滌除を
認めるケースが多くありました。
抵当権者は可哀想ですよね。
そこで、
現在ではこの「滌除」は無くなり、
「抵当権消滅請求」という名前に代わり、
内容も変わりました。
増加競売や自己落札などが無くなり、
悪用が出来なくなりました。
晴れて抵当権者寄りの
制度となったわけです。
以上、滌除についてのお話でした。
区分所有マンションを保有していらっしゃる
オーナー様が、その物件を賃貸として貸し出す
場合があります。
この場合、
不動産会社に賃料査定等を行ってもらい、
条件面を設定したうえで貸し出すことに
なりますが、
その場合の【共益費】の取り扱いについて
お話します。
共益費。場合によっては管理費とも表現されますが、
実態は一緒です。
一棟マンションなどでは、共用部の電気代や水道代などに
宛がう費用ですね。
区分マンションですと、
「別に共益費なくて良いんじゃない?」
といって、
賃料:●●●●円
共益費(管理費):無
と設定されるオーナー様が多くいらっしゃいます。
私はこの方法はおススメしていません。
なぜか。
もしそのマンションが大規模修繕工事を行い、
積立金がいきなり1万円上昇したらどうしますか?
賃料改定しない限り、
所有の賃貸物件の利回りは一気に下がります。
区分マンションのような集合住宅では、
区分所有者の多数決で大規模修繕が決まりますので、
オーナー様が反対したところで、決定してしまう
場合があります。
そして、賃借人は大規模修繕の恩恵を受けます。
※建物がきれいになるわけですから。
なので、賃借人にも一部負担してもらいやすく
するために、共益費を設定します。
具体的には、
管理費・積立金の額とほぼ同等の金額を
共益費として設定します。
賃料の増額は、正直言って簡単ではありません。
賃借人からすると不当に賃料増額されるという
感情が生じるでしょう。
しかし、共益費の上昇であれば、
大規模修繕等の話をすると
納得してくれるケースが多いです。
このように、賃貸条件の設定には意味があります。
不動産会社の提示した内容に疑問がある場合には、
「なぜこういう設定なんですか?」
「●●の場合にはどうするんですか?」
という質問をしてみましょう。
質問に答えられない場合には、
別の不動産会社の話を聞いてみる必要がありますね。
弊社では賃貸オーナー様からご相談を
お受けしています。
ご所有の賃貸物件の内情を確認しながら
ご相談に応じていくわけですが、
お悩みの中で賃料滞納のお話が多く見受けられます。
また、弊社が管理を引き継いだ物件でも、
賃料滞納者が多くいる状態で引き継ぐ場合もあります。
オーナー様自主管理の場合には
滞納督促がなかなか難しいのは仕方ありません。
しかし、管理会社が入っておりながら
滞納状態が続いているのはよくありません。
回収能力のない管理会社は変更すべきです。
滞納者とのやりとりは相当な労力がかかります。
弊社でやりとりする場合でも、根気のいる作業を
しております。
・電話にでない
・郵便物を見ない
などという対応をする滞納者もいます。
「保証会社加入しているから大丈夫!」
そう思われるオーナー様も多いはずです。
しかし、
保証期限切れていたらどうでしょうか?
その滞納者が年間保証料を更新時に払っていなかったら
保証は切れています。
保証会社は面倒を見てくれません。
この状態で連帯保証人の設定もなかったら、
あとはその滞納者から必死に回収するしかありません。
※敷金もない場合を想定。
正直、相当な労力が必要です。
「訴訟すればいいのでは?」
と思われるかもしれませんが、
退去の訴訟も時間とお金がかかります。
最悪の場合には訴訟も必要ですが、
出来るだけスマートに回収する方が
コストもかからず良いです。
それを実現するのが、
【連帯保証人】です。
現在のところ、連帯保証人には滞納請求できます。
※改正民法後の取り扱いに注意。詳細はコチラ。
そのため、不動産投資家の方でこれから収益不動産購入を
検討の方は、各戸の賃貸借契約書を確認し、連帯保証人
の設定の有無、保証会社加入の有無は必ず確認しましょう。
ただし、
いくら連帯保証人を設定しているからといって、
すぐに連帯保証人へ連絡するのは得策とはいえません。
オーナー様と滞納者の今後の関係に影響します。
やはり滞納者に自発的に入金してもらうのが一番です。
自発的に払ってもらうように
交渉してくれる管理会社に管理を依頼することが
まず最初にやるべきことですね。
管理料が安いからと言って、目先の費用ばかりを重視する
のではなく、このような対応が出来る管理会社を選択
してください。